
ニッカウヰスキー「余市1984」。
余市蒸溜所20年貯蔵シングルモルト、だそうです。
木箱に入ってるウイスキーなんて初めてかも。
実は、春先に友達からいただいたもの。その友達は、おいらとウイスキーを語れる数少ない友達の1人だったんだけど、病気を患って以来お酒が飲めない体質になってしまったらしい。その友達はジャパニーズウイスキーに関しては、ピートを炊き込んだ香りを好む「ニッカ派」、おいらは炊き込まない「サントリー派」だったんだけど、お互い「アードベッグ」などスモーキーなアイラモルトも好んで飲むようなタイプなのでね。
これはニッカのメルマガに登録していたその友達が、宣伝文句に釣られて買ってしまった(と本人からメールが来た)ものらしいんだけども、引っ越すのに荷物になるんで、処分するには惜しいこれをおいらに譲ってくれたんだ。タダで。
おいらは、レモンハートのマスター同様「酒は飾っておくものじゃなく、飲むもの」と思っているので、誕生日をまたいだら開けようと思ってた。というかおいらも日々酒に溺れる生活で、いつ肝臓を患って飲めなくなるかわからないから、飲めるうち、酒の味がわかるうちに飲んでおかないと、と思っていたので。
ネットで調べたら定価で2万円以上する酒ですよ。
思い切って開けました。
開けただけで(そこらじゅうに広がる香りで)鳥肌が立ちました。
おいらがいつもハイボールにして飲む、せいぜい1,500円程度のそれとは「同じ種類の酒」とも思えないくらい、重厚にして微塵もとがった感じがない、甘〜くて、複雑な味。テイスティングノートを自分で作れるほどの表現力や味・香りの分解能は持ち合わせていないけど、酒に付属していたテイスティングノートを読みながら飲んだら「ああ、そういえばそんな味もするな」くらいはわかる。けど、ごちゃごちゃ言わず、目を閉じてその味と香りにずっとうっとりしていたいような、そんな気持ちになる。ニッカのこだわりともいえる、ピートを炊き込んだ感じの煙っぽい香りが、かすかにする。
この酒を開けてしまったことに、ちょっともったいないと思いはするものの、後悔はしていない。むしろ、この酒を開けずに飾ったまま死蔵してしまっている人や、プレミアがついた頃に高値で売ってやろうとしている人がいるとするなら、開けなかったことを一生後悔すべき。
あ、たった1つこの酒に関して残念なことは、これをおいらに譲ってくれた友達と一緒に飲んで語れなかったこと。すごく残念だ。でも、ありがとう。
ひと口しか飲んでないけど、日常の嫌なこと2つくらい癒された気がするよ。